コミックス 39巻01章〜05章までに相当。
オープンカフェで優雅に待機していた吉良吉影は、
無敵のスタンド「シアーハートアタック」に不測の事態が起きていることを悟った。
このまま待っていてはダメだ。
「シアーハートアタック」をなんとしても回収しなければ。
リモコン戦車をフリーズさせて仗助を待つ康一のもとに、吉良吉影が現れた。
突然目の前に現れた凶悪犯に、やにわに表情をこわばらせる康一。
恐ろしい、おぞましい、許せない・・・様々な感情が交錯して
言葉で確認することもなく「確信」した康一は、攻撃を開始した。
ACT.3なら、仗助を待つまでもなく自分で何とかできる、と、考えたわけではない。
もちろん、相手のスタンドは拘束して戦力を封じているという意識はあっただろうが
考えるより先に、身体が動いていたはずだ。
この刹那の逡巡が、原作よりもかなり簡略化されているが、
言葉が多くなくても、康一の感情は十分伝わる表現が為されている。
康一は相手のスタンドに「本体」が別にいることを知らなかった。
康一が射程から出てしまったので、シアーハートアタックも復活する。
自分以外のスタンド使いの存在を知ってから、
わずか2〜3日の間に、仗助や億泰、由花子や彩のことまで調べあげていた吉良吉影。
保身(安眠)のためなら努力を厭わぬこの勤勉さ、向学心。
この男は、こうして15年以上もしたたかに犯罪者の顔を隠してきたのだ。
・・・と、思うでしょ? じつは違うかも。
以前説明したように、エピソード順の入れ替えがあったため
重ちーの死を受けてスタンド使いたちが集合し、それに吉良吉影がニアミスした際
アニメでは、そこに辻彩が加えられている。
そのおかげで
吉良吉影が、辻彩とシンデレラの能力を、いつ、どうやって知ったのか
という疑問に、わずかばかり納得しやすくなっているのだが、
そのニアミスをきっかけに、吉良吉影が要注意人物を調査したと仮定した場合
もっとも注意すべき仗助と億泰に、より縁が深い康一の名前も把握していないのに
由花子や辻彩の存在を気にかけていた理由は、
彼女らが美人だからに他ならない。そう、由花子と辻彩のことを意識していたのは
吉良吉影の
変態殺戮者としての本能であり、
危険回避のための予備調査でも何でもなかったのだ。
おそらく吉良吉影は、彼女らに「おっ!」と思うところがあったが
仗助たちと関係のある人物に深入りしてはいけない、と
保身のためのギリギリの自制心が働いたのだろう。
でなければ、見た目もっとも危険そうな承太郎について
何も調査せず放置していた理由が見当たらない。
実はもっとあらゆる事をすでに調査済みで、康一と由花子の関係も知っているからこそ、ここで由花子の名前を出したのだとしたら、それはスゴイ巧みな戦術だが
由花子や辻彩がスタンド使いであることは知らなかったようだし、
何より気になるのは「日数」だ。
原作では、重ちーの死後、すなわち
吉良吉影が自分以外のスタンド使いの存在を知ってから
「山岸由花子はシンデレラに憧れる」のエピソードがあり、
吉良吉影がボタン修理に出していた上着を受け取りにやって来るのは
それから数日後と考えることができるのだが
アニメでは、
スタンド使いが集合したのは重ちーの死からすぐ(たぶん翌日)で、
その日に新たな女性を殺した吉良吉影は、おそらくその翌日(今)
上着を引き取りに現れた、と受け取るのが一番理解しやすい時間経過となっている。
そのわずかの間に、仗助と億泰の自宅を調べ、
由花子の名前やシンデレラの存在まで把握しているのは、少し無理がある。
知っていても、表層的なことだけと考えるのが妥当だろう。
吉良吉影の報復タイム開始
なぶり殺されながらも、吉良吉影を煽り続ける康一GJ!
完璧と思っていた能力が敗れ、カフェでは赤っ恥をかかされた。
ちっぽけなクソガキにあっさり本名がばれ、お前はバカ丸出しだッ!!
じっくり嬲って憂さ晴らしをするはずが
つい、うっかり怒りにまかせてひと息にとどめを刺してしまった。
この
「試合に勝って、勝負に負けた」感じ。
最後に康一の身体をふっ飛ばして証拠を隠滅すれば
ひとまず安穏な日常に戻ることができる。
学生ボタンを爆弾に変えるというのは
康一を助けに駆け寄った仗助と億泰をもまとめて始末しようという考えからだろう。
「それどんなビジンダー!?」とか考えた僕の年齢はナイショだ。

承太郎蘇生
(死んでませんBGMが三部のときのものになってる! かっちょいヒー!
吉良吉影が目覚めたとき、現場にはすでに仗助と億泰が到着していた。
そりゃそうだ。数十秒しか余裕なかったんだから・・・。
もうなりふり構っていられない。
自らの左手を切り落とし、シアーハートアタックを発動して逃走。
これでシアーハートアタックを拘束しても、吉良吉影を拘束することはできない。
このとき、承太郎に馬鹿にされた腕時計を一緒に破壊しているのがおもしろい。
襲い来るシアーハートアタックに、しかし仗助の行動は
治す!
あの「手」の行き先が殺人鬼だッ!しかし、「手」の行き着く先は、エステ・シンデレラ。
吉良吉影は、自分と背格好の似た男をシンデレラに連れ込み
顔や指紋を入れ替えさせ、その男と辻彩を殺して逃げおおせたのだった。
次回:アトム・ハート・ファーザー
ここで、多くの読者が抱いた疑問。
シンデレラの能力には、それを維持する制限があるはずではなかったか。
いや、それ以前にスタンド能力で入れ替えた顔が、
能力者が死んだ後でも、そのまま定着するものだろうか。
その疑問は、由花子の例で理解できないことはない。
辻彩はビジネスとしてシンデレラの能力を提供していた。
時間や美しさに制限をつけることでリピーターを確保していた。
(私見だが、コンプレックスにつけ込む商売ってのは、得てしてそういうものだ。しかし、最終的に由花子の顔を戻してやったように、
例外的なこともできる能力なのだ。
それは「なんとしても美しくありたい」という強い意志に対し
ある種の覚悟を提示させることで、望む「美」を手に入れる満足感と
それに寄与する充足感、WIN-WINの関係を得るという
彼女の「美の魔法使い」としての矜持がそれを許さなかっただけなのだ。
よって、完璧に施術した顔や指紋は、辻彩が死んでもそのままと考えていい。
そしてもう一つの疑問
仗助のクレイジー・Dの「治す」能力
小さなガラス片のところへ他の破片が集まって瓶に戻ったり、
切断された腕のところへ攫われた億泰の身体が戻ってくるなど
必ずしも、大きな部品を基点に修復が行われるわけではない。
この場合、吉良吉影が切り落とした左手を逃さなければ
残る本体の方が「治りに」戻ってくるはずなのだ。
それをせずに「手」の行き先を追いかけたために
結果、吉良吉影を見失ってしまった。
なぜ身体の方を戻って来させなかったか。答えは簡単だ。
切り落とされた左手は、殺傷力が半端ない爆弾だからだ。
それを掴んで、身体が戻ってくるのを待つことは自殺行為に等しい。
極めてどうでもいい余談:クソカスDQNに絡まれた吉良吉影が、わざと落とした財布。
そこには、まあまあの現金と、免許証・クレジットカードが入っている。
免許に書かれた生年月日は、1966年1月30日。
原作でも後ほど明らかになる、1999年現在33歳の吉良吉影の誕生日だ。
※参考画像ただ、日本の免許証は、生年月日を元号付きで表記するのが普通。
この場合「1966年」ではなく「昭和41年」と表記するのが正しい。
・・・と思ったら、次のシーンでは「昭和41年」になってるわww
こういうの、誰か気づけよ。
あと、今どきは、メンズを格上げするブランド財布といえば「長財布」で、
二つ折りの財布は男を下げるという人もいるようだが、
本作が連載されていた平成6年頃のトレンドはどうだったのかな
イタリアブランドのスーツを好む吉良吉影にしては、色も少々野暮ったいような・・・
おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。
基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。
また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。
ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。