2016年12月24日

ジョジョの奇妙な冒険 第四部 #39「さよなら杜王町─黄金の心」


コミックス 46巻09章・47巻01〜03章に相当。

今ふたたび追いつめられた吉良吉影は地に崩れ落ちた。

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このわたしが追いつめられてしまうなんて、これは夢に違いない。

信じられない現実に抗う心が折れた瞬間だ。
それとも「夢」なら、寝て起きれば覚めるとでも思ったか。

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しかし、その絶望の窮地のさなか、
今また「バイツァ・ダスト」が発動しようとしている。

その詳細を知るただひとりの人物:早人の分析によると、
「バイツァ・ダスト」は、
吉良吉影がどうしようもなく追いつめられた時だけ偶然的に発動し、
時間を1時間ほど戻してなかったことにする。
さらに、吉良吉影の正体を知ったものは全員爆死する。
 

吉良吉影の窮地を救う、ただそれだけを目的に、
事実を知った者ことごとくを排除するという
吉良吉影だけに都合良すぎる、身勝手極まりない能力であることは事実だが

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その発動の条件が今また揃っていることに、なぜ早人が気付いているのか。

昨晩、風呂場にて吉良吉影を精神的に追い詰め、殺されてしまった早人。
しかし「バイツァ・ダスト」が発現したのは、早人が追い詰めたからではなく、
早人を勢い余って殺してしまった事に起因する。

然るに、早人は「バイツァ・ダスト」の発現を見ていない。

そして吉良吉影は、早人を殺してしまったことや、そのために絶望したこと、
あり得ないことに「ふたたび」矢に射られたこと、
ってか、そもそもスタンド能力発現の条件や、ひとりに一つの原則なども
当然のことながら早人に言ってはいない。

それなのに、この早人の熟知ぶりは、作中で繰り返したよりもさらに何度も
実は、我々が知らない繰り返しを経験しており、
ともすれば、重ちーや露伴のように

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行き場のない自分の魂が、苦しみ抜いて崩壊しながら空に召されるその様を
覚えているという可能性すらある。
早人の知識と経験、侮りがたし!



もう躊躇していられない。
今を置いて、吉良吉影を止める機会は二度とない!駆け出す一同。

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「バイツァ・ダスト」は承太郎に出会いたくない一心で発現した能力。
その限界の「ギリギリさ」が、再びきっと!
「バイツァ・ダスト」を発現させるのだッ!!


この吉良吉影の言葉からは、早人の言うとおり
「バイツァ・ダスト」が自由自在に使える能力ではなかった事がわかる。

こまめにセーブすることを怠った吉良吉影の慢心が
早人に付け入る隙を与えたと僕は思っていたが、そうではなかったようだ。
「バイツァ・ダスト」は
一度解除すると、もう一度かけることが自由にはできなかったのだ。

「偶然的に発動する能力」であることを早人が知っていたのは
吉良吉影がセーブして過去を確定することを怠っていたことから推測した
のだとしたら、早人の洞察力は、これまた少年離れしていると言える。


かくして吉良吉影は、この混迷の事態から解脱し・・・

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早人以外に自分の正体を知る者のいない時間にふたたび降り立った。

・・・かに思えた。

逃げ切った!!運命に打ち勝ったと、吉良吉影が安堵したとき
真実を告げに来た少女:杉本鈴美

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お前はもう死んでいる。
いくら死ぬ刹那だろうと、楽して消滅なんてさせやしない。
自分がどうやって無惨にも命を落としたのかすべて思い出せ!


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いいや!限界だ。押すねッ!

だがそのスイッチは押すことができなかった。
康一の「エコーズACT3」が超重力をかけたからだ。

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間髪入れずに「スタープラチナ」が時を止め、
第三部のBGMをバックに、万感の思いを込めて渾身のオラオララッシュ!

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ぶっ飛ばして、吉良吉影の右手を破壊した。


さて、ここで細かいことだが
「エコーズACT3」の射程距離は5メートル。

一瞬を争う緊張感の中「5メートルまで近づかないと
時間を止めても間に合わない」と考える承太郎よりも、
康一の方が先に攻撃できたのは、
承太郎が「ザ・ワールド」を無駄撃ちしないために確実性をとったから
と考えれば辻褄は合うのだが、

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実は原作では、体制を崩した(?康一が
駆け出した承太郎のコートをつかんでいるように見える描写がある。

そしてそのあと、
時間が止まった康一は承太郎のコートにしがみついていた。
康一はずっと走る承太郎にぶら下がっていた、
すなわち、二人はほぼ同じ距離にいたということになる。

だから確実性をとった承太郎よりも、一瞬早く攻撃を仕掛けることができたのだ。

ところがアニメでは、「エコーズACT3」で吉良吉影を攻撃するその時

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康一は立ち止まってポーズを取っているにも関わらず、

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次の瞬間、時間を止めた承太郎のコートにぶら下がっている。

これはあかん。

時間を止めていられる僅かな時間に確実にケリを付けられる距離まで
矢も盾もたまらず猛ダッシュしている承太郎に、
一度立ち止まって技を仕掛けた康一が追いついて
承太郎のダッシュを邪魔するかのようにコートを掴んでいることになる。

何してんの!?

ちなみに、承太郎が「ザ・ワールド」を「二度がけ」すれば、
相当な距離も一瞬で移動できんじゃね? という
素朴だが無粋な疑問が湧くが、
長いブランクがあったため、それは出来ないと考えるよりないだろう。


ボロボロで地を這い、もはや指一本満足に動かせないほど敗色濃厚でも
まだ生き残ろうと足掻く吉良吉影にとどめを刺したもの。

jojo-04DU_39n.jpg それは救急車。
結構衝撃的に後輪に巻き込まれる様が描写されている。

火事場に猛スピードでバックしてくる救急車なんて見たことないが、
人が突然ぶっ飛んできたのだから、運転手を攻めることはできないだろう。

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ヤツの最期は「事故死」・・・。
あいつは法で裁くことはできないから、これでいい・・・。



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一方、あっという間に「死」を受け入れた吉良吉影は
整形で手に入れた顔ではなく、本来の自分として
「幽霊」としての安穏な生活に興味を示しはじめていた。

その新しい生活の第一歩が、
ふたたび杉本鈴美を怖がらせることであることに、歓びすら感じているようだ。

だが、吉良吉影の魂が、
おとなしく、怯えて、後悔にまみれて、あの世へ行くわけがないことは
鈴美の想定の範囲内のことだった。

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アーノルドに襲われた吉良吉影はバランスを失い
絶対振り返ってはいけない小路でもんどりを打つように倒れた。

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お逝きなさい!吉良吉影

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かくして、悪の権化は闇の中へ引きずり込まれた。

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そこは、魂すら形を保つことを許されない、
吉良の魂が粉微塵となって無に帰される様子が描かれた。
原作にはここまでの描写はない。


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別れのとき。
15年もこの路地に縛り付けられてきた鈴美が、天に召されるときが来た。
邪悪な欲望で人の魂を汚辱し続けてきた元凶はもういない。
鈴美とアーノルドの魂が、苦しみ崩れるようなことはもうない。



第四部開始当初に書いたように、
本作はスタンドバトルという非日常を繰り返す、日常生活の物語だった。
杜王町というひとつの町の片隅で、いつの間にか始まり
いつの間にかひっそり終わっていた、決して小さくはない騒動。

杜王町が生んで杜王町に執着した吉良吉影という怪物によって
町は大きく傷つけられたが、人々の暮らしは変わらない。

承太郎とジョセフは帰国し、こうして皆それぞれの日常へ。


原作では描かれることがなかった
キャラたちのその後の「日常」が盛りだくさんのエンディングは嬉しい。

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正式にカップルとなった康一と由花子。
由花子は作った弁当・・・忘れてきてんじゃないか?

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猫草を引き取った虹村親子

グルーピーに惚れられてこその噴上裕也や
超スピードで原稿を執筆する露伴は相変わらずだ。

送電鉄塔と共存を続けている鋼田一豊大(仮名)までが登場したが
何人か描かれなかった者がいる。

死んだ人や入獄した音石明は仕方ないとして、
エニグマの宮本輝之輔は本になっちゃったからか。
でもアンジェロ岩は出たんだよなぁ。
ジャンケン小僧こと大柳賢が出てこないのはなぜかなぁ・・・。


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ちなみに、このシーンの広瀬母娘以外のモブは、

第01話で車の排ガスにむせていた村上のお婆ちゃん
第08話で間田敏和を最後に懲らしめたバイク乗り
第20話でエステシンデレラから飛び出してきた女性
第22話で吉良吉影の新たな標的となった女性とお茶してた友人
第29話で仗助のバイクにはねられかけたベビーカーの女性

こうして1999年の夏は、ほとんどの人々にとって
いつもの夏と同じように、あたりまえに過ぎていった。

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ジョジョの奇妙な冒険 part.4 ダイヤモンドは砕けない 完

長らくのお付き合い、ありがとうございました。
第五部のアニメがあったとしても、たぶんレビューはしません。


おことわり)
アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」 のレビューは
「原作準拠」の検証の目的で、コミックとの比較をするスタンスで書いていましたが
第四部は、三部までほど「原作準拠」に拘っていないようなので、比較はもちろんしつつ、
筆者の勝手な推察や持論を、多めに盛り込んで書いてゆきます。

基本的に、揚げ足取り中心の文章となることはこれまでと変わりないので
ファンの方には、しばしば不愉快な思いをさせることがあると思いますが、
筆者は決して悪意を持ってはいないことをご理解の上読み進めていただけると幸いです。

また、検証・認識の甘さから、的はずれなことを書くかもしれません。
その場合は、遠慮なくご指摘ください。

ご指摘・お叱り・応援、あらゆるご意見を歓迎します。